氷川丸


行き詰まると必ず行くところがある。
横浜の山下公園につないである氷川丸だ。
この船は祖父が航海士として乗っていた船で、
チャップリンと一緒に写っている写真が展示してあった。
英語を流ちょうに話し、
まさにジェントルマンという言葉そのもの、
背も高く白髪で背広をおしゃれに着こなし、
頭のとても良かった祖父に子供の頃から憧れていた。
ただ子供の僕や兄を捕まえては、
方程式、つまり鶴亀算の問題をさせることには閉口した。
僕にとっては憧れという一点を決して崩さない、
本当に素敵な祖父だった。
それだからこそ、悩んだときには祖父の船にくる。
祖父が握ったであろう操舵輪、
祖父が覗いただろう旋回窓、
祖父が日々を過ごしたであろう船長室、
それらを見ながら祖父ならどう決断するのかを考える。
当然のことながら僕がかってに作り上げた理想像である祖父の姿を媒体にし、
考えをまとめようとしているだけなのだ。
己のみしか決断する場には居ない孤高の部屋、
その部屋がここなのである。

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