靴磨き

生まれて初めて靴を磨いて頂いた。
映画などでダンディーな紳士が靴を小僧に磨いてもらうシーンがある。
その紳士も重要であるが靴磨きの小僧がもっと重要である。
生意気でやっんちゃでキャップ帽を斜めにちょいと頭に乗っけて、
言葉遣いが大人と同格で尚且つ、くそ生意気である。
そんな小僧がやってる靴磨きの足のせ台に
ものも言わずぶっきらぼうに片足をドスンと乗せる。
そんなシーンに憧れていた。
空港で少し時間に余裕があったので、
生まれて初めて靴を磨いてもらった。
映画のシーンのように生意気な小僧ではなく、
上品なご婦人であった。
当然ぶっきらぼうにドスンと足を乗せられるわけもなく、
「すみません。よろしくお願いします。」
といいながらおずおずと足を乗せた。
靴磨きのご婦人はとても博識で、
「生き物は(動物の皮のこと)は難しいから。」
と言われながら手際よく靴を磨いていった。
その間わずか10分そこそこの時間ではあるが、
靴の手入れ方法や最近の靴のコーティングなど、
いろいろ教えて頂いた。
ブラッシングがマッサージを受けているかのように心地よい。
「これでしばらくもちますから」
といわれ500円支払った。
今回靴を磨いてもらおうと思ったのも、
きっかけは自分にしてはいい靴を買ったからだ。
生まれて初めて1万円以上もする靴を買った。
履いてとてもここち良かったし、
またこのメーカーのアフターメンテナンスが良いことは知っていた。
どうせなら長く大切に履ける靴をと思った。
でも今までで一番高い靴は高校入学時に父が買ってくれた靴である。
僕は高校受験に失敗した。
そんな僕を励ます気持ちも込めてあったと思う。
父は底が革張りのとても高価な靴を僕に買ってくれた。
父の思いがありがたい。

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