知覧


先日、法人設立当時から役員として僕を支えてくれていた芳博叔父が亡くなった。
亡くなる数日前に病院に行くと
「最近はどんどん新しい老人ホームが出来ているが今度の施設は大丈夫か?」
と4月に新設したフィラージュ開出のことを随分心配してくれていた。
大丈夫だと手を握ると力強く僕の手を握り返してくれた。
こんなに元気なら間もなく退院できるのではと安心して帰った矢先の訃報であった。
僕と一緒で酒席が大好きで、
いつも冗談を言っては場を盛り上げてくれた。
よく言っていたジョークがある。
「僕はこの年になっても虫歯が1本もない」
みんなが「ほ~~」っと感嘆の声を上げるとすかさず、
「総入れ歯じゃから虫歯が1本もない」
爆笑の渦の中に叔父はいつもいた。
下ネタも軽妙でさらりと言うところは神業だった。
しかし葬儀の席で叔父の僕の知らなかった一面があることが分かった。
叔父は零戦乗りであった。
しかも教官をしていた。
若者を零戦のパイロットとして育てカミカゼとして送り出した。
自分自身も特攻に志願したらしいが願いかなわず終戦を迎えた。
僕の家にも戦闘服に身を包んだ凛々しい写真があった。
一度、うちの法事の席でそのことを聞いたが多くを語らなかった。
小説「永遠の0」を読んだ僕にはなぜ叔父が、
あの明るく笑いを振りまく叔父が
このことに関しては貝のように口を閉ざしたか、
今なら少しは理解できる。
最近、叔父は知覧に行きたいと漏らしていたらしい。
終戦のときと同じく叔父のこの願いも残念ながら叶わなかった。
合掌

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