当たり前のことを当たり前に

全国老施協の友人のFacebookにこんな文章が掲載されていた。
読み進むにつれてこころから考えさせられた 。
職員さん達も読んで欲しい。
ところで自分のことを「わし」というのは友人の口癖で、
山口でも僕らの時代は男子はほとんど「わし」を使ってたから、
僕はあまり違和感はないがある人にはご容赦。
以下彼の文章を拝借。

ちょっと低レベルな話になるかも知れない。

わしが常日頃から、自法人はじめ介護事業者に求めているものは単純明快。

それは「当たり前の事を、当たり前にやる」って一点のみ。

「当たり前」

とは?

緒論あるでしょうが、わしは「その国、及びその地域における社会通念」と定義したい。

つまり、日本国の社会通念、そしてその事業所が属する地域の風習や風俗等に基づいて、サービスを提供するべきだと思うんだ。

具体的な例を示してみる。

一時期、「飲み薬を食事に混ぜて提供する」ということが行われていた時期があった。
その理由を尋ねると「(普通に飲ませようとしても)飲まないから」という意見が大半だった。

紛う事なきバカである。

逆に「じゃああなたは、薬を飲む時にご飯と一緒に混ぜて飲むの?」と問うと「いや、水で飲みます」と答える。

…なぜ、利用者にはそうしないのだ。

言葉遣い一つにしてもそう。

上司とは、敬語・丁寧語で会話をするという。
ご利用者の家族にも、敬語・丁寧語を用いるそうだ。

では「ご利用者本人には?」と問うと、タメ口・友達言葉、指示・命令口調、赤ちゃん言葉なのである。

何故だ。

あんたは目の前の年下から堂々とタメ口や赤ちゃん言葉を遣われた事があるのか?
百歩譲ってあったにしても、その時相手を許せる感情を持つことが出来たのか?

その行為は「当たり前」なのか?

そこには潜在的な差別意識が働いているのではないか、と思う。

「人間は差別意識を持っている」というのがわしの持論。
それこそ喜怒哀楽と同じレベルの感情だと捉えている。

人は自分と他者を比較し、自分の優位性を認めることで自己確立している部分がある。
言い換えると、他人が自分より劣っている部分を探して優越感を感じたいもんなのだ。
小中学生のいじめ問題を紐解くと良く解る。

翻って前述の「薬のご飯混ぜ」「ご利用者への言葉遣い」を考えてみると、利用者(わしらの業界では高齢者だね)を『自分より下の存在』とみなし差別していることに原因があるのではないかな、と常々思う。

上司は自分の仕事の先輩であり指導者であり責任者。社会的地位もある人も多い。
ご家族は我々の事業の大切な顧客の1人であり、認知症や障害のない健常者(という方が多い)。いわゆるフツーのオトナだ。

だから、そんなオトナが水で薬を飲むところを見ても「おかしい」とは思わない。
話しかける時は、敬語や丁寧語を遣う。

じゃあ利用者は?

恐らく、「認知症(判断力がない)」「障害がある」「高齢」「汚い」などを理由に『自分より劣っている存在』と見なしているのだろう。

だから、「どうせ解らないだろう」とお粥の上に粉薬を載せて食べさせたり、「○○してよ(しないでよ)」と命令口調で話したり、「だよねー」「~じゃない!?」など友達口調で話したり、「はい、あーんしてー」と赤ちゃん言葉で話したりしているんじゃないか?

それはプロとして専門性に基づいた結果ではなく、感情に任せて楽な手法を選択しているだけに過ぎない。

『逃げ』だ。

そんなの「当たり前」じゃない。
感情を振り回して生活している人間はいない。
コンビニの店員だって、客を見て「嫌な客だな」と思うことはある。けれど、少なくとも客の前では嫌そうな顔をしたり馬鹿にした態度を取ることはない。
そういう意味では、コンビニの店員の方がよっぽどプロフェッショナルだろう。

人間である以上、『自分より劣っている(と思う)部分』に目が行くのは仕方ないだろう。

我々は『介護のプロ集団』を標榜しているわけだよ。

そのような部分に目が行ったとしても、丁寧語を遣って物腰柔らかに接するよう心がける。
薬が飲みづらかったら、情報収集の上その原因をしっかりアセスメントし、試行錯誤する。

敢えて批判を承知で表現すると、たった8時間の勤務時間は”良い職員を演じる”べきだという事。

それが、サービス業に従事する者の「当たり前の感覚」だろう。

プロ集団というのは、専門事業(仕事)を、お金をもらいながら、高いレベルで行い、周辺から尊敬を集める者の集合体のことだ。

薬をご飯に混ぜる行為のどこに専門性がある。
タメ口の、赤ちゃん言葉の、どこに尊敬される要素があるんだ。

わしは高い金を払ってレストランで食事をして不味いモノを出されたら腹が立つ。
入った瞬間に「ちわっす、空いてる席に座ってー」とか言われようものなら罵声を浴びせながら店を立ち去るだろう。

お客さんに、店先で立ち去られないように。

今、すべきことは何なのだろう。

しっかり考えよう。そして行動しよう。

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